クリエイターやアーティストは、価格(価値)への考え方が大分違う

私は物販の営業経験があります。その見地から見て、お客様から「価格が高い」と言われたら、「価値を伝えきれていない」と解釈し、自身の営業不足を省みます。そして価値が伝わるよう努めます。このように、営業の仕事は「価値の伝達」だと考え、それが「当たり前」だと思っていました。

ただ、この考えは物を売る私の「当たり前」であって、世界が変われば当たり前ではないのだと、思い知らされた瞬間があります。

たびたび話題になる、クライアントから「高い」と言われたクリエイターの反応(言説)を見た時です。「プロになるまでに何百何千時間という時間コストがかかっているんだ。それが分からず『高い」などと言う奴は非常識だ」。このような言説を見て衝撃を覚えました。「価値が分からないのは、売り手の責任ではなく、買い手の責任なのか」と。

10年ぐらい前になりますが、芸術家の村上隆氏がテレビ番組に出演していました。彼は作品を売るために録画した制作風景を見せたり、自ら作品の説明をしたりと、価値を伝える努力をしていました。「こうした努力で、1億円が2億円になる」といった旨を述べており、とても印象的だったのでよく覚えています。

村上隆氏を嫌うアーティストやクリエイターが多いと聞きます。それはそうだと思います。村上氏は明らかに商売人気質ですから、「価値の分からない人は非常識、価値の分かる人(見識人)だけ買えばいい」と考えている人と、話が噛み合うわけがありません。嫌われている理由はほかにもあるでしょうが、他のアーティストやクリエイターと価値観がずいぶんと違うことが見て取れます。

もう一つ、作品に対して「高い」と言って価格交渉をしてくる人が減らないのは、そんな人を「非常識」と非難するだけで、価値を伝える努力を怠ってきたからではないでしょうか。これがすべてとは言いませんが、啓蒙活動をしてこなかったのも一因だと思います。

私の好きなTV番組に『美の壺』があります。番組では、暮らしの中にある物を一つ取り上げ、鑑賞のコツを3つ教えてくれます。この番組を見る前と見た後では、鑑賞する目が養われ、物の捉え方がガラッと変わるんですね。別言すれば、今までよりも価値を見出せるようになったわけです。この事象からわかるように、価値は、見方を教えないと分からないんです。

私もクライアント(法人)の商品を売るお手伝いをしていますが、商品と価格だけを伝えて物が売れることは稀です(ブランドがあれば別ですが、中小企業の場合はほぼ皆無)。あの手この手を使って価値を伝えなければ、価格相応の価値を消費者は見出してくれません。それが普通だと思います。

アートやクリエイティブの世界には、私の知らない慣習や流儀があるのかもしれません。もしかしたら、私の意見はズレているのかもしれません。ただ、「価値を伝えなければ、お客様の中に価値は生まれない」は間違いない真実です。

こういう見方もあるのだと、何かの参考になれば幸いです。

 

 

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