メリットとベネフィットの違いについて

マーケティングでは、「メリット」「ベネフィット」の言葉がよく使われます。直訳すると意味が近いため、「違いがよく分からない」といった所感をお持ちの方も多いです。マーケティングやコピーライティングをするうえで、この二つの違いはしっかりと抑えておいたほうがいいです。販促や売り文句を考える際、必ず役に立ちます。そこで今回、メリットとベネフィットの違いについて解説していきたいと思います。

まずはこちらの例文を読んでください。

化粧品Aがあります。
化粧品Aは、保湿・美肌効果に優れた無添加の素材を使用。そのため、30日間使い続けることでシミ・そばかすが消え、肌年齢も10歳若返ります。効果を体験した人たちからは、「自信が持てるようになり外出が増えた」「20代に間違えられてナンパされた」などの声が届いています。

上記の例には、メリットとベネフィットが記されています。どれがメリットでベネフィットだか分かりましたか?

メリットは、「シミ・そばかすが消える」「肌年齢が10歳若返る」です。
ベネフィットは、「自信が持てるようになり外出が増えた」「20代に間違えられてナンパされた」です。

メリットは、効果です。ベネフィットは、得られる体験です。
ここで着目して欲しいのは、ベネフィットは、メリットによって支えられている点です。化粧品の例で言えば、シミやそばかすが消えて、肌年齢が10歳若返るからこそ、自信が持てるようになり、20代に間違えられたりするわけです。

この関係を一枚の表にしてみました。

メリットとベネフィット1

 

先ほどの化粧品の例を当てはめてみます。

メリットとベネフィット2

先ほどベネフィットはメリットに支えられていると言いましたが、メリットもまた理由(商品特長)に支えられているのです。

 

企業の多くは、「理由」か「メリット」を売り文句にしています。
たとえば、「うちは素材が違います」「デザイン性が優れています」「他社よりも有効成分が2倍入っています」など、“理由”を謳うパターン。「飲み続けると2ヶ月で痩せられます」「5分使うだけでコリや疲れが緩和できます」「部屋に置くだけでリラックス効果があります」など、メリットを謳うパターン。

“理由”や“メリット”を売り文句にする企業が多い一方、ベネフィットまで踏み込む企業は思いのほか少ないです。ベネフィットを謳うには、想像力(お客様の生活を深慮する力)を要するからです。これが難しい。

ジャパネットたかたの前社長 高田明氏は、ベネフィットをイメージさせる重要性をよく理解しています。それが垣間見えるインタビュー記事をご紹介します。

今、物を物として売ったら売れないんです。その物が作り出す結果としてその人の人生をどう変えるかという、そこを伝えることによって、物が物でなくなる。
例えばカメラだったら、こんな話をします。
子供さんが生まれた家庭なら、毎年1枚の写真を撮ってそれを新聞大に伸ばしてください。すると成人の日までに年齢順に20枚の写真が揃います。それを成人の日にプレゼントしたら、最高の贈り物になりませんか。それをつくり出すのがカメラですと。(『SAPIO(さぴお)』2015年7月号)

高田氏の言う「物が作り出す結果としてその人の人生をどう変えるか」は、まさに「メリット⇒ベネフィット」です。カメラの連写機能が優れている、ズームが何倍という情報も大切ですが、カメラを通じて、先の未来、どんな生活や体験があるのか、これをお客様にイメージさせなくてはいけません。突き詰めれば人は、今の生活をよりよくするために商品を購入しているわけです。ですから、どのように生活がよくなるのかを伝える必要があるのです。

同じく大手通販業界のショップジャパン代表のハリー・A・ヒル氏も、ベネフィットの重要性を熟知している方です。ヒル氏の書籍『ロングセラーを呼ぶマーケティング』には、「ビフォー・アフター・アフター」という概念が出てきます。前半のアフターをメリット、後半のアフターをベネフィットと捉えると分かりやすいでしょう。書籍の一部を紹介します。

一般的な「ビフォー・アフター」の考え方であれば、「家をきれいにしたい⇒家がきれいになった」というところで終わりでしょう。これであれば、ある程度でも想定ができます。
しかし、私たちが気付かされた「ビフォー・アフター・アフター」とは、「家がきれいになっただけではなく、本当は手伝ってほしかったが、今まで家事をしてくれなかった夫が家事を手伝うようになり、結果として夫婦関係が以前よりも良好になった」というものでした。(p105)
(中略)
例えば、皆さんがダイエット食品の宣伝担当者だとします。このとき、まず強調するキャッチフレーズは「これを食べれば○キロ痩せます」という「効果」だと思います。
確かに、ダイエット食品を購入する人には、その商品を通して「痩せる」ということを具体的に伝えなければ、その商品に対して見向きもしてもらえないかもしれません。
しかし、「効果」を強調してみせただけでは、お客さまの心をつかむことはできないのです。商品の宣伝をする場合は、より深く、より具体的に表現されなければならないからです。つまり、「痩せた」だけでなく「その後こんな素敵なことがありました」という後半のアフターを伝えて初めて、お客さまの共感を呼び、「この商品なら私も……」と豊かなストーリーをお客様自身に描いてもらうことができるのです。(p166-167)
(『ロングセラーを呼ぶマーケティング』 著者 ハリー・A・ヒル)

高田氏とヒル氏、表現は違えど同じものが見えているように思えます。

さて、ここまでお読みになり、メリットとベネフィットの違いは掴めてきたでしょうか?
続いては、表についての解説をもう少し加えたいと思います。

 

 

メリット・ベネフィットの表の解説


今回紹介した表では、メリットとベネフィットを大きく二つに区分しています。メリットは、「機能的価値(効果・効能)」と「情緒的価値(感情・五感)」。ベネフィットは、「問題を解決した生活」と「心を満たす体験」です。では、もう一度表を見てみましょう。

メリットとベネフィット1

今回は、化粧品(「機能的価値⇒問題解決した生活」)を例に挙げました。商品によっては、「情緒的価値⇒心を満たす体験」の場合もありますし、「機能的価値⇒心を満たす体験」の場合もあるでしょう。ここら辺は柔軟に考えてください。

この表を使って、自社の商品はお客様に対してどのようなメリット・ベネフィットを与えられるかについて考えてみるといいでしょう。一枚の表にまとめておけば、社内での認識を一致させることができます。

 

 

ベネフィットが想像できない場合


商品を購入したお客様に聞いてください。どんな風に生活が変わったのか、どんな体験をしたのかを。企業が想像したベネフィットとは違ったベネフィットを体験しているお客様もいるはずです。こうした情報は役に立ちます。企業が気づかなかったベネフィットを伝えることができるようになるからです。

また、できたらお客様から直筆の感想文をいただいたり、インタビュー動画に出演していただくのも販促の面から見ても効果的です。企業がベネフィットを謳うよりも、お客様が謳うほうが共感が得られるからです。

先ほど紹介した書籍『ロングセラーを呼ぶマーケティング』でも、このように書かれています。

私たちが気づかなかった潜在的な悩みが解決している事実に、お客さまの話を聴くことで初めて気付くことができるのです。そしてそれをストーリーとして表現し、共感の輪をさらに広げようというのが「ビフォー・アフター・アフター」の考え方なのです。(p106)

 

以上、メリットとベネフィットの違いについて、私なりに解説させていただきました。参考になれば幸いです。

 

 

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