意味を見出して価値を生むキュレーションは、小売業を救う

毎年10月近くになると、知人から映画祭の案内状が届きます。映画祭のテーマは「食と農」。映画館を貸し切り、食と農に関する映画を1週間上映します。かれこれ6年近く催しているため、毎年盛況に終わっているのだと思います(詳しい内情は知りません)。

初めてチラシを受け取ったとき、「面白いこと考えたな」と思いました。ビジネスの観点から見て、とても示唆に富んでいるからです。

一つひとつの作品は認知度が低く、単体で上映しても大して集客できません。しかしそれが、「食と農」という特定のテーマを掲げ、作品を集めてきたことで、「作品群」としての意味を持ちました。それが価値を生み、集客を促したのです。

このように、特定のテーマに沿って作品を並べる行為をキュレーションと呼びます。元々は、美術館などに勤める人が、「こういう順番で観てほしい、この並びだからこそ価値が分かる」といった意図を持って作品を並べることから来ています。

商品も作品も、単品では「個」としての意味しか持ちません。それを特定のテーマに沿って集めることで「群」としての意味を持ち、価値を生み出します。

キュレーションについて、まだイメージできない方もいると思いますので、馴染みのある例をいくつか紹介しましょう。
たとえば、「100円均一」は、「100円で買える」をテーマに商品を陳列しています。これもキュレーションです。ココナラは、500円で請け負える仕事だけを集めたクラウドソーシング・サービスです。これもキュレーションです。
ほかにも、リラックスできる曲だけを集めたCDなどもよく売られています。これも特定のテーマで曲を集めているためキュレーションです。面白い例としては、書籍『キミ色ツインテール』があります。ツインテールの似合う可愛い女の子だけを集めた写真集です。これも立派なキュレーションです。

余談ですが、私は以前、産業振興センターからセミナー講師として招聘され、キュレーションについての講話を行いました。笑いのネタにと『キミ色ツインテール』を購入して、本誌をセミナー中に紹介したところ、全くウケなかった経験があります。

さて、このキュレーションは、あなたの商売に置き換えて考えてみてください。たとえば小売業の場合、自社が扱っている商品は、他社でも扱っていることがほとんどです。しかし、キュレーションを施すことで差別化が図れるかもしれません。

以前書いたコラム「お客様の欲求に合わせて商品を陳列する」に、「粉物商品(お好み焼き、たこ焼き)の隣にコカ・コーラーのペットボトルを陳列したら、粉物商品とコカ・コーラー双方の売り上げが上がった」という記事を書きました。これも、立派なキュレーションです。

このように、何か特定のテーマや意図をもって陳列することで「群」としての意味が生まれ、お客様は今まで気づかなかった価値に出合えます。来店するたび、新しい価値に出会わせてくれるお店なら、足を運ぶ頻度も自然と上がることでしょう。

人がお店に足を運ぶ理由は、「買いたい物があるから」だけではありません。「あのお店は楽しい」も、十分な来店理由になるのですから。

 

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