カクノから学ぶ、衰退産業の蘇らせ方

最近私は、「カクノ」という万年筆を購入しました。「カクノ」は、2013年10月にパイロット社から発売され、9カ月間で販売数50万本を突破した人気商品です。ほかの万年筆と一線を画す特徴は、何と言っても価格です。たったの1,000円。しかも1,000円とは思えないほどの書き味。この高品質・低価格が受け、万年筆を使ったことにない大人や小学生が手に取るようになりました。

パイロット社はなぜ、1,000円の万年筆を販売したのでしょう。理由は、市場を広げるためです。100年前、万年筆は筆記用具として広く普及しました。しかし、ボールペン、シャーペンなどの出現により、近年は普段使いの筆記用具ではなく嗜好品として位置付けられています。そのため市場は決して大きくはなく、衰退傾向にあります。

では、万年筆は消費者から求められていないのかといえば、そうではありません。パイロット社が8,000人にアンケート調査をしたところ「万年筆で書いてみたいが使い方がわからない」「使ってみたいが高くて手が出ない」といった声(潜在ニーズ)があることが分かりました。また、海外の小学生は筆記用具として万年筆を用いる習慣があり、日本の小学生も市場になる可能性があると判断。そこで、市場を拡大すべく開発されたのが「カクノ」です。価格は1,000円と決め、小学生向けのデザインが施されました。結果は冒頭で書いた通りです。カクノは万年筆の市場を広げる目的を果たしたのです。

 

この事例には、特筆すべき点が二つあります。
一つ目は、価格の決め方です。商品を開発してから価格を決めるのではなく、価格を決めてから商品を開発しています。顧客視点の観点から見てこの手順は正しいです。対象顧客が買いやすい価格を決めてから商品開発を行い原価などの帳尻を合わせるのが本来の企業努力です。

二つ目は、市場の広げ方です。高級品や嗜好品の市場は、往々にして衰退傾向にあります。たとえば、呉服がそうです。この30年間で市場は5分の一にまで縮小しました。手軽に買えて使える着物が少ないからです。こういった業界にとって、カクノの事例は参考になるはずです。

未経験の人が最初の一歩を踏み出しやすい価格はいくらなのか。その価格に合わせて商品は開発できないのか。こうしたお客様目線の価格設定や商品開発が、衰退市場の息を吹き返すきっかけとなります。ぜひ、衰退産業に従事している方は、参考にしてください。

 

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