ビジネス書には書かれていない泥臭い話
私が起業したてのころ、友人からガス販売のチラシを作って欲しいと依頼されました。何でも、知人が安くガスを仕入れられるようになり、地元で新規契約を増やしていきたいとのことでした。ただ、お金がないので、出来高でお願いしたいとのこと。私は時間もあったので作ることにしました。
1日でチラシを作り、印刷にかけ、ポスティングを行いました。
反応は上々でした。2週間のうちに40件以上もの契約が取れたのです。友人とも「この調子なら、すぐに軌道に乗るな」と話していました。そんな矢先です。
友人の知人に競合のガス業者から脅しの電話が入りました。知人は「どうしよう、どうしよう」とかなり脅えていました。私と友人は、学生時代から修羅場をくぐって来た経験もあり、ニコニコしながら「今から乗り込みに行こうよ」と誘いました。「いや、何かされたらどうするの」と知人は震え声で答えました。「何かされたらむしろ好都合だよ」となだめましたが、首を縦に振りません。結局、知人の心は折れてしまい、ガス事業を辞めることとなったのです。
派手に業界地図を塗り変えていくと、競合から嫌がらせを受けることはままあります。このような話は、ほかでもよく聞きます。経営者は、こうした場面に遭遇した際、どう行動に出るかがとても重要です。
経営者に必要な気質が一つあります。それはヤクザ気質です。ぬるく事業をしているうちは必要ありませんが、業界地図を変えるほど精力的に活動をしていると、遅かれ早かれヤクザ気質が問われる場面に直面します。
私は幾人もの経営者と会ってきましたが、大きく事業を展開している社長は、やはりどこか腹が据わっています。そして、それなりの修羅場もくぐっています。
経営とは、実に泥臭いものです。時には、泥水を飲むことさえあります。ビジネス書には、こうした事実はあまり書かれていません。この影の部分は公に出ませんが、意外に重要だったりするのです。
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