仕組み化したければ、凡人を基準にしなさい

あるコンビニオーナーから伺った話です。
そのオーナーは、カップラーメンの販促企画で全国トップの販売数を誇った経歴がありました。2位以下のオーナーは皆、割引販売している中、1位のオーナーだけが定価販売だったそうです。この事実から、とても敏腕な経営者であることが分かります。

そのオーナーが次にチャレンジしたのは、一客5,000円以上する九谷焼のカップの販売でした。コンビニとしては高価な商品です。爆発的にとはいかないまでも、順調な売れ行きだったそうです。しかし、本社はいい顔をしませんでした。オーナーが個人で仕入れて販売したものですから当然です。結局、オーナーと本社との間で軋轢が生じ、オーナーはコンビニを辞めることとなりました。

この話を聞いた当時の私は、「コンビニも頭が硬いな。上手く行った例を参考にして、他のお店でも活用すればいいのに」と思いました。しかし後になって考えが変わりました。本社が下した決断は正しい、と。

オーナーが残したトップの成績や九谷焼の販売実績は、下積みや仕掛けがあって成せたもの。個人の能力が大きく作用しており、仕組みやマニュアルによるものではありません。もし、このコンビニの成功例を本社が取り入れたら悲惨な結果になっていたでしょう

 

漫画『ヒストリエ』から学ぶ、組織統一


先の事例の肝要部分をよく表している漫画本があります。『ヒストリエ』です。
時景は紀元前4世紀。ギリシアやマケドニア王国・アケメネス朝ペルシアを舞台に、古代オリエント世界を描いた作品です。主人公は、マケドニア王国のアレクサンドロス大王に仕えた書記官エウメネス。このエウメネスが馬にまたがる際に足をかける補助具を開発しますが、仲間の兵士に却下されます。そのやり取りが学びに富んでいるので紹介します。

兵士「つまりだな、軍というものは、個々ではなく、集団なんだよ。統制されてこそ、最大の力を発揮する。例えば、こちらの部隊に3~4人突出した能力を持つ武人が交じってるとするな? 片や、こちらの中には一人だけ能力の劣った兵がいて、部隊全員がその劣等兵の動作に合わせて統一した動きをとったとする」

主人公「…………」

兵士「すると不思議にこっちの劣等兵に合わせた部隊の方が強かったりするんだ」

主人公「ほう……、ちょっと面白い」

兵士「要は『1つになる』という事。そのためには兵の個性に合わせて思い思いの装備を作るのではなく、統一規格の装備に全員が肉体を合わせるように訓練していく。1対1で負け、10対10で敗れても、100対100、千対千で勝てばよい。やがて英雄、豪傑など不要となろう」

主人公「おお……!」

 

コンビニのオーナーの話にも通ずるものがあります。
一人突出した人に合わせていたら、組織全体に悪影響を及ぼします。突出した能力者は、1対1の世界ならいいでしょう。しかし、集団となると足並みを乱す元になるのです。

 

天才、突出した才能がもたらす組織への弊害


昔、ニコニコ動画で放送されていた『ひとり夜話』。ここで、岡田斗司夫氏が天才や突出した才能を持った人がいると、組織にどんな影響があるのかを語ってくれました。その一部を文字起こししてみました。(話言葉だったので、読みやすいように私のほうで少し編集している)

上手いアニメーターが描いた線は、消しゴムがかけられない。素晴らし過ぎてどうやって消しゴムをかけていいのか分からない。そんな優秀なスタッフがいるのは良いことかと言うと、必ずしも良いことばかりではない。
アニメというのは、数十人の共同作業で作ります。全員のレベルが均一に高いのは良いことなんですが、全員のレベルがある程度バラバラなのも、これも良いことです。上手い奴が下手な奴を教えられるから。
でも、物凄くうまい奴がいたら、全員委縮しちゃうんです。で、こういうことがアニメ界ではよくあって、宮崎さん(宮崎駿)や大塚さん(大塚康生)の絵を見たアニメーターは、みんな動画に落とすのを怖がってしまう。「絵を殺しちゃうから描けません」と言い、スケジュールが遅れてしまう。
天才とか才能が物凄くある人の存在が、アニメーションのレベルを上げるのかと言うと必ずしもそうではない。アニメっていうのは、ダメなスタッフがいたらアニメのレベルは落ちるんだけど、凄いスタッフがいるとスケジュールが送れるんです。笑

突出した能力の持ち主は、扱いが難しいですね。
仕組みやマニュアルは、天才や秀才を基準に作ると上手く機能しません。組織の大半は凡人です。凡人に合わせて作らなくてはいけません。成功事例を仕組みやマニュアルで共有する際は、この点を気をつけて判断したほうがいいでしょう。

 

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