ブラック企業の経営者は、自己愛性人格障害である

「大量採用、大量解雇」「月100時間超の残業」「うつ病を患い辞職」「日常的なパワハラ」。ブラック企業に見る様態です。

経営者がまともな神経の持ち主であれば、恒常的な長時間労働を社員に課したりしません。また、社員がうつ病や過労で倒れれば、心を痛め、是正しようと考えるはずです。しかし、ブラック企業の経営者は、そうした反省は一切ありません。倒れた社員を電池切れした人形のように捨てます。ブラック企業の経営者にとって、社員はただの消耗品なのです。私自身も、幾人かのブラック企業(だろう)経営者を見てきて、そう感じました。

人形 傀儡 ブラック企業

なぜ、社員をゴミのように捨てられるのか。
私は経営者の心のありように関心を持ちました。ブラック企業について調べていくうちに、書籍『ブラック企業経営者の本音』(著者 秋山 謙一郎)と出合います。本書は、ブラック企業の経営者100名にインタビューをし、それをまとめた稀有なものです。一節にこう書かれていました。

取材を進めるうち、自覚するしないを問わず、ブラック企業経営者と呼ばれる者たちに共通していることがわかった。皆、何事も自分に都合よく考える。物事を考える軸は、すべて〝自分〟である。さも、自分が世界の中心であるかのように考えている節がある。

私はこの一文から、ある仮説が立ちました。
「もしかしたら、ブラック企業の経営者の多くは、重度の自己愛性人格障害(自己愛性パーソナリティ障害)ではないか」と。

自己愛性人格障害とは、簡単に言えば、「自分大好き。自分は選ばれた人間だ。自分以外の人間はすべて自分のためにいる」と本気で思っている一種の精神障害です。もし、ブラック企業の経営者が重度の自己愛性人格障害であるならば、すべて合点がいきます。

「人格障害」と聞くと、大変な病気に聞こえるかもしれませんが、16人に1人が有していると言われており、さして珍しくありません。また、自己愛性人格障害はみな自信家のため、経営者に多いのも特徴です。
自己愛性人格障害には、以下のような特徴があります。

1. 自己の重要性に関する誇大な感覚。
2. 限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている。
3. 自分が”特別”であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人たちにしか理解されない。または関係があるべきだ、と信じている。
4. 過剰な賞賛を求める。
5. 特権意識。つまり特別有利な取り計らい、または自分の期待に自動的に従うことを理由無く期待する。
6. 対人関係で相手を不当に利用する、つまり、自分自身の目的を達成するために他人を利用する。
7. 共感の欠如:他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない。またはそれに気づこうとしない。
8. しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込む。
9. 尊大で傲慢な行動、または態度。

DSM-Ⅳ-TR 精神疾患の分類と診断の手引き より

 

書籍『境界性パーソナリティ障害』(著者 岡田 尊司)では、自己愛性人格障害を以下のように表現しています。(本著では、自己愛性パーソナリティ障害と表記)

自己愛性パーソナリティ障害の人は、自分は特別な存在だと思っており、それにふさわしい華やかな成功を、いつも夢見ている。特別な存在である自分に、他人は便宜を図ったり、賞賛し、特別扱いするのが当然だと考える。

 

他者の内面や存在の尊厳が省みられることは、ほとんどない。自己愛性パーソナリティ障害の人にとっては、余りにも自分が重要なので、他人のことや問題は、いわばどうでもいいのだ。ある意味で、他人は自分の都合や利益のために利用するものでしかない。利用価値がなくなったり、思い通りに動いてくれなくなれば、その関係は終わりを告げる。利用価値がなくなったものは、無価値でつまらないものとして否定される。

 

自己愛性パーソナリティの人が、権力や地位を得ると、周囲は散々な思いをする。権限をかさにいうことを聞くように迫られたり、自分にこびへつらわない者は、冷たく無視されたり、いじめるように仕向けたり、子供のような真似を、権力のもとに行うのである。

 

自己愛性パーソナリティを示す人は、人生早期に蒙った試練を跳ね除けるだけの、天与の能力と強さを持っているように思う。 自己愛性パーソナリティの人が示す、傲慢さ、尊大さ、妥協を許さない心は、創造的な営みにおいては、非常に大切なものである。誇大ともいえる自信があるからこそ、誰にもなしえない成功ももたらされるのである。

引用文を読んで分かるように、自己愛性人格障害には、ブラック企業の経営者になりうる素養が十分にあります。また、自己愛性人格障害からくる傲慢さや尊大さは、能力や成功に大きく結び付いているのも特筆すべき点です。

元横浜国立大学保健管理センター准教授(現在、有限会社メンタリング研究所 顧問)の堀之内高久氏は、「自己愛性人格障害が無いと、経営者として成功するのは難しい」との言説を述べています。

王様 経営者 自己愛性人格障害

なんとも皮肉な話です。
ブラック企業の経営者になる素養と、経営者として成功する素養が同じなのです。問題は程度です。状況や立場によっては、黒い部分が大きく表出し、社員を不幸にしてしまいます。

特に、業績の低迷時期や急成長している時期は顕著です。前者であれば、社員に長時間労働を課したりパワハラが横行します。慢性的な人手不足に陥っているため、常時、ハローワークに求人枠があるのも特徴です。後者であれば、大量採用と徹底的な洗脳教育をして使える者以外は辞めさせられます(もちろん、自主退職の名目の下)。

では、どうすればいいのか。
社員から経営者を改心させることは、ほぼ不可能です。この話を社長が聞いたとしても、考え方を改める気は起きません。よって、絶望的に現状は変わらないでしょう。

唯一、救いがあるとすれば「理解」できるという点です。
本コラムを読むことで、経営者の心を少しでも理解できるようになります。理解できれば、扱い方や受け止め方も上手になり、ストレスの緩和に繋がります(一番の得策は転職ですが)。

すべてのブラック企業の経営者が「自己愛性人格障害」と言うつもりはありませんが、何割かは当てはまると思います。

関心がありましたら、ぜひ、自己愛性人格障害に関する書籍などをお読みください。改善の糸口になるやもしれません。

 

関連書籍


境界性パーソナリティ障害

 


ブラック企業経営者の本音

 

 

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