日本では「80対20の法則」が誤解されて広まっている

「トップ1%の富裕層に、富の99%が集中している」。このような主張を聞いたことはありませんか。2014年に流行った、著書『21世紀の資本』(著者 トマ・ピケティ)でも、1%に富の集中が起きていると指摘しています。

この記事を書いている2016年3月3日は、アメリカ大統領選の最中です。立候補者の一人、民主党バーニー・サンダース氏も「富が1%の富裕層に流れている。これは間違いだ。」と主張しています。

これらの現象を表現する「99対1」という言葉も生まれました。「99対1」、これに似た言葉を聞いたことはありませんか? そうです、「80対20の法則」です(「2割8割の法則」とも呼ぶ)。この法則が本当なら、20%の人に80%の富が集中するはずです。しかし現実は、そうはなっていません。

実は、「80対20の法則」は、日本では誤った理解で広まっています。大抵の場合、「80対20の法則」に当てはまる現象は起きません。試しに、自社の顧客リスト20%が本当に80%の売上をもたらしているのかを調べてみてください。かけ離れた数字になるはずです。

今回は、「80対20の法則」の誤った理解を是正したいと思い、コラムを書きました。

著書『ロングテール』(著者 クリス・アンダーソン氏)の一文に、正しい解釈が記されています。こちらを一部引用します。

80対20の法則は、長きにわたって三つの理由で間違った理解のされ方をしてきた。第一に、正確には80対20にならない場合がほとんどだ。僕が研究しているような在庫が巨大な市場は、大体80対10以下だ(商品のわずか10パーセントが売上の80パーセントを占める)。
80対10を足しても100にならないから納得がいかない、と言うあなたは鋭い。これが第二の誤解されやすい点だ。80と20はそれぞれ商品数と売上という別のものの割合なので、合わせて100になる必要はない。しかも、80と20の関係をどう表わすか、あるいはどちらを一定にしておくか、これといった基準もない。ある市場が80対10で、なおかつ95対20(商品の20パーセントが売上の95パーセントを占める)ということもありえるわけだ。
三つめの理由は、この法則がさまざまな現象に対して使われることだ。そもそも商品と売上についての話だが、法則は商品と利益の関係にも同じように適用される。
もっともよくない誤解は、80対20の法則が、売れる20パーセントの商品しか置かないように勧める法則だと思ってしまうことだ。この思い込みは、基本的にどの商品を置くかよく選別していい商売をすることを促す法則だ、という見方から来る。

私は10年ほど前から「80対20の法則」に対して懐疑的でした。
ニュースレターを発行する際、送付範囲を決める参考データとして顧客数と売上の関係を調べてみたときのことです。「80対20の法則」になるのかなと思いましたが、全くなりませんでした。40%ぐらいのお客様が80%ほどの売上を占めている、といった感じだったと記憶しています。『ロングテール』を読み、私は胸のつかえが下りました。

このコラムをお読みの方は、これで正しい理解を知ったわけです。
これからは、「80%の売上をもたらしている顧客は何%なのか」または、「20%の顧客は何%の売上をもたらしているのか」といった活用をしてください。それと「20」や「80」にこだわる必要もありません。「90%の売上を占めるのは、何%の顧客なのか」と考えるのもアリなのです。

ぜひ、誤った概念に惑わされず、データを精査してみてください。新しい発見があるかもしれませんよ。

 

 

関連書籍


ロングテール‐「売れない商品」を宝の山に変える新戦略 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

関連記事

1日10秒で読めるメールマガジン

中小企業に特化したマーケティング&セールスがすべて学べる!
「客単価を倍にする一言」「口コミが生まれる5つの条件」「販促効果を倍増させる7種の限定性」「ニュースに取り上げられる8つの企画」「売れるネーミング7つの条件」「新商品をヒット商品にする2つの方法」「新規事業の成否を決める3要素」「集客商品に必要な5つの条件」など、商売に役立つ情報を毎日(365日間)配信。

今すぐ、ご登録を!