「価値」の「見方」を教えて消費を促す

突然ですが、お酒は好きですか?
YESと答えた方に、もう一つお聞きします。いつどのようにして好きになったか覚えていますか? 私はワイン、ウィスキー、日本酒が好きですが、オギャーと生まれた時から好きだったわけではありません。ある時、あるきっかけがあり好きになったのです。きっと、あなたも同じかと思います。

今回は、お酒を例題に「価値」がわかる瞬間について解説したいと思います。お客様の消費を促すヒントが詰まっていますので、ぜひ、一読ください。ではまず、私が種々のお酒を好きになったきっかけからご紹介しましょう。

ワインを好きになったきっかけは、あるイベント会場での試飲でした。それまでコンビニや居酒屋に置いてあるワインしか知らず、さして「好き」という訳ではありませんでした。試飲したワインは、私が知るそれらとは一線を画すほど美味で、ついつい「どこのワインですか?」と聞いてしまったほどです。「ドイツの白ワインです。ドイツは白が有名で、日本人の舌に合うんですよ。このワインは、人気商品で初心者や女性に人気なんです」と教えられ、そこからワインの旅が始まりました。ワイン会社との付き合いもでき、営業マンからワインについて3年に亘り教えてもらいました。今では赤ワインを好んで飲みますが、あの時のきっかけがなければ、ここまでワインを好きになっていなかったでしょう。

ウィスキーを好きになったきっかけは、旅先のbarで飲んだバランタイン17年でした。ワインと同様、それまでコンビニや居酒屋に置いてあるウィスキーしか知らず、さして好きという訳ではありませんでした。バランタイン17年をはじめて飲み、「ウィスキーもいける!」と思ったのです。しかし、他のウィスキーを飲んでみても、どうもピンと来ない。そんな時バーテンダーから「スコッチから攻めるといいですよ」と教えられ、スコッチを飲むことに。これが舌に合う。それからもバーテンダーから色々と教わり、当初「絶対美味しくない」と思っていたバーボンウィスキーが今では一番好きになっています。

続いて、日本酒は……。
話が長くなりますね。日本酒の話もしたいのですが、残念ですがここら辺で割愛しますね。ワインもウィスキーも(日本酒もですが)、私は始めから好きだった訳ではありません。ある日、あるきっかけを境に好きになり、のめり込んでいったのです。当然、お酒に使うお金も増していきました。

人は、価値のわからないものにお金を使いません。そしてどんな商品やサービスも、生まれた時からその価値を知っているわけではありません。言い換えれば、この世にある物すべては本来無価値です。価値を見出せているのは、私たちが「見方」を知っている(知った)からにほかなりません。

たとえば、「書く」という概念のない人にボールペンを見せても、ただの硬い棒にしか見えないはずです。しかし書くことの便利さや楽しさ、装飾の美しさを知れば知るほど、ボールペンは価値を帯びてきます。そして、数万円、数十万円のボールペンでさえも欲するようになるのです。

書籍『芸術の楽しみ』(編集 原田 平作、神林 恒道)にこんな一文があります。

アボリジニの「民族芸術」の展覧会が開催されました。展示されている作品の多くは、オーストラリアの原住民の日用の生活の道具です。おそらく彼らには芸術品を作っているという意識はありません。それらを「芸術」と見なすのは、もっぱらわたしたちの側からする「見方」によるものだと言えます。(中略)
たとえば千利休は茶道の大成者として知られる人物ですが、あらゆる納屋の片隅に転がっていた古茶碗に目を止めました。利休はその粗末な茶碗に、自分が日頃理想としている侘の世界が映し出されているのを見出し、さっそく茶席でこの古茶碗を道具として用いました。すると、たちまちこのみすぼらしい茶碗に千金の値がついたということです。こうなると「発見の技術」に熟達した利休のような目利きは、さながら錬金術師のように思えてきます。こうして見てきますと、「芸術」を「芸術」たらしめているのは、「発見」に始まるひとつの「見方」であるとの筋道が見えてきはしないでしょうか。(p5ー6)

オーストラリア原住民の生活道具は、ただの道具としての価値しかありませんでした。私たち現代人が芸術としての見方を用いて品評したとき、生活道具が芸術の域にあると見なされたのです。

千利休が見つけた「納屋の片隅に転がっていた古茶碗」も同様です。ほぼ無価値と思われていたものから価値を発見し、千金が付くようになりました。

引用から見てとれるのは、「価値」は「見方」から来るものだということです。もし、商品の価値がわからないお客様がいるとすれば、それは「見方」を知らないからです。見方を教えることで、お客様は価値を認識できるようになるのです。

書籍『招客招福の法則』(著者 小阪裕司)のコラムの中でも、特に私が好きなエピソードをご紹介します。

ある婦人服・雑貨の店でこんなことがあった。売っている陶器製のネコの貯金箱のうち一つが破損してしまった。耳が欠けてしまったのだ。接着剤で修理したものの、明らかに破損したことがわかる状態だった。
本来ならばこの商品は傷モノだ。捨てるか、捨て値で処分するところだろう。しかしこの店の社長は違った。彼はこの貯金箱を店頭に出し、こう書いたPOP(店頭販促)広告を張ったのだ。「私は猫です。3月3日のひな祭りの日に交通事故に遭いました。右の耳を少しケガをしましたが、おかげさまで元気になりました。こんな私ですがかわいがってくれる飼い主さんを探しています」 するとある五十代のお客が来店し、こう言った。「このけがをしたネコの貯金箱をください」(中略)
私たちは破損してしまった商品のことを「傷モノ・不良品」と思ってしまう。たしかに製品という観点から見れば明らかに「傷モノ・不良品」だ。しかし、ならば必ず商品としての価値がなくなるのかといえば、そうではない。(中略)
メッセージが語られたことでお客にとっては、「傷モノでも買う」ではなく、「この傷モノだから買いたい」となったのだ。
これは傷モノとして処分されそうな商品に新たな価値を吹き込んだ例、新たな命を吹き込んだ好例だ。それはPOPのメッセージ一つでできる。そしてそのメッセージに共感して買うお客もいるのだ。(p160-161)

この世にある物すべては本来無価値です。あなたのお店にはじめて来店するお客様は、陳列してある商品が無価値に見えているかもしれません。ならばどうすればいいのか。あなたならもうわかりますよね。それをするのが、商人の仕事なのです。

 

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