専門家のジレンマ

特定の分野に専従して商いを営んでいる人は多いと思います。このコラムを読んでいる人の中にもいることでしょう。そこで、一つお聞きします。

専門家とは、一体どんな人を指しますか?

おそらく多くの人は、「特定の分野において、詳しい知識(技術)を有している人」と答えるはずです。しかし、私からすれば、その答えでは不十分です。一歩足りません。

私が思う専門家とは、「特定の分野において、詳しい知識(技術)を有し、ニーズに応じて知識(技術)を取捨選択できる人」です。少し解説が必要ですね。

私の例を用いて説明しましょう。
先日私は、「セミナー案内文の書き方」を教えるセミナーを催しました。その中で、タイトルの書き方を教える時間があります。教えたのは、1つのみです。何十ものタイトルの書き方を知っていますが、あえて教えませんでした。なぜなら、この1つを知っていれば十分だからです。

ノウハウは、多いほど良いと考えるのは、間違いです。多すぎる情報量は、かえって受講者を混乱させてしまいます。

専門家は、多くの知識を有しています。時には、専門家であることを誇示するため、知識をひけらかす必要もあるでしょう。しかし、それだけでは駄目です。広大な知識の中から、必要に応じて一部だけを取捨選択できる人、それが本当の専門家です。この取捨選択にこそ、専門家としての真の価値があるのです。

これは、物販でも同じです。
「多くの商品を取り揃えました。欲しい物を買ってください」は、量販店であっても、専門店ではありません。語弊を恐れずに言えば、専門化すればするほど、商品点数は減ります。減るはずです。

専門家としての自分(自社)を誇示するために知識(商品)をひけらかすことと、取捨選択することは背反しており、ジレンマが生じます。
専門家になればなるほど、ジレンマは生じるものです。逆説的に言えば、それがないうちは、まだまだ二流と言えます。ジレンマを抱えながらも精進して行く、それが、専門家としてのあるべき姿なのです。

 

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