文章に説得力を持たせたければ、他人の言葉を引用しろ

「真に言いたいことは、文中で何度も書いたほうがいい」。
そう教える人がいますが、私はそうは思いません。文中に何度も同じ言葉が出てきたら読者はくどいと感じるでしょうし、文章も稚拙になっていきます。

出口汪 現代文講義の実況中継(1) 』(著者 出口 汪)にこんな一文があります。

本当に大事なことは、二度と繰り返しません。逆なんです。本当においしいことは、一回しか言わないよ。
例えば、今、この場で、僕が同じことを何十回も繰り返し言ってごらん。みんなかえって聞かないに違いない。くどいな、また同じことを言っているって。ましてや、活字に残すとなると、こんな下手な文章はないでしょう。(p50)

「好き」と「好き、好き、好き」なら、どちらが本気の「好き」だと思いますか? 前者だと感じるはずです。言葉の特性の一つに「繰り返すほど軽くなる」があります。ちなみに、「声を大きくするほど軽くなり、小さくするほど重くなる」という特性もあります。「だーーい好き」よりも「……好き」が刺さります。

自分が真に伝えたいことは一言だけ書く。これが基本です。しかし、読者により深く確実に理解して欲しければ、自分の言葉ではなく、他人の言葉を借りてきます。つまり、引用です。

「引用」は、文章術における最強の説得法です。他人の権威や言葉を借りて、自分の言葉に説得力や真実味を持たせることができるからです。また、他人の言葉ですから表現も異なります。自分の言葉では響かなかったとしても、他人の言葉なら伝わることもあります。

先に紹介した同著にこんな一文があります。

僕の読解法の中でもよく指摘する有効な手法が、「引用」なんです。引用というのは、人の文を引っぱってくること。文章を読んでいくと、何か哲学者の文章が引っぱってある。難しくて読みにくい。わけが分からなくなって、みんなそこであせるでしょ。ところが、そんなのはどうだっていいんです。
なぜ、、その哲学者の文を引っぱったの? 自分と同じ意見の箇所だから引っぱったんですよ。(中略)全部、著者の言いたいこと(A)の繰り返しなんです。(p52)

自分が言いたいことは一度きり、後は他人に言わせる。これが伝わる文章術です。

引用する際、私が気をつけていることが二つあります。
一つ目は、「同分野の権威」です。たとえば、マーケティングをテーマにした話であれば、マーケティング界における権威者の言葉を引用します。二つ目は、「他分野の権威」です。たとえば、マーケティングの話の中に芸術界の権威者の言葉を引用します。分野は違っても、同じ答えに辿りついた方の言葉は刺激的であり、一つ目とは違った意味の説得力を持ちます。また、他分野から引用するとちょっと知的に見えます。

最後に、本コラムで他分野の引用ができなかったことだけが悔やまれます。

 

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