感性を育て、必要性を教えることで消費は促せる

消費の源は「欲求」にあります。欲求とは「あれが欲しい」「これが買いたい」という、欲する気持ちです。この気持ちがなければ、人は“商品を購入する”という行動には至りません。

では、欲求はどのように生まれるのか。
欲求の背景には、二つの要素があります。一つは感性。もう一つは必要性です。この二つの要素のいずれかに触れたとき、欲求が生まれるのです。

もう少し具体的に説明しましょう。
感性とは、“どんなものに快を感じるか”を司るものです。人は、お金を払ってでも快を得ようとします。たとえば、お酒を飲むのが大好きなのであれば、その人にとって飲酒は快なのです。美味しいお酒があれば、お金を払って快を得ようとするはずです。

必要性とは、不快(問題)の回避・解決です。人は、お金を払ってでも不快を解消しようとします。たとえば、体脂肪率が高い悩みを抱えていれば、その人にとって肥満は不快なのです。痩せられる手だてがあれば、お金を払ってでも不快を解消しようとするはずです。

このように、欲求の背景には感性と必要性があります。商品を売り込むのであれば、「どんな快が得られるのか」「どんな不快が避けられるのか」を伝えなくてはいけません。ただ、これはあくまでも、こちらが提示した「得られる快」、「避けられる不快」に共感する感性や必要性をお客様が有している場合のみ有効です。もしそれらがなければ、いくら伝えても、お客様の消費意欲は喚起されません。

感性や必要性が足りない人に売ろうとするならば、感性を育て、必要性を教える必要があります。前置きが長くなりましたが、今回は、欲求の喚起(感性を育て、必要性を教える)について事例を紹介しつつ、解説していきます。

 

 

感性を育てることで消費を促す


私の好きな映画の一つに「スイングガールズ」があります。
女子高生がジャズバンドを結成して練習を重ね、コンクールに出場する物語です。この映画を観るまで、私はジャズに全く興味がありませんでした。しかし、映画を観終えた途端、ジャズに強い関心が湧き、すぐにアマゾンでジャズCDを20枚ほど買いました。私は、映画を通じてジャズに対する感性が育ち、ジャズを「快」と感じるようになったのです。

こういう例はよくあります。
最近では、ドラマ「のだめカンタービレ」や、アニメ「けいおん」が流行り、楽器を購入する人が急増しました。1年分がわずか1週間で売れてしまった楽器もあったようです。ドラマやアニメを通じて感性が育ち、「音楽をやってみたい」「楽器を弾いてみたい」という欲求が芽生え、消費を促したのです。

ここで大切なのは、感性は育てられる、ということ。そして、感性が育てば消費意欲が芽生える、ということです。

私はワインが好きですが、生まれたときからワインが好きだったわけではありません。ある日、あるきっかけがあり、ワインが好きになったのです。私の場合、あるイベントでワインを試飲したのがきっかけでした。飲んだワインの美味しさに驚き、ワインに関心を持つようになりました。その後も、営業マンから度々ワインについて教わり、感性が育成され、ワインの消費がグンと増えました。結果的に、1年間で50万円以上も使うほどになったのです。

欲求は、感性から生まれます。
商品の魅力・歴史・物語を伝え・体験させることで、感性は育てられます。
感性を育てる活動は、お客様により豊かな生活を教えることであり、それは、欲求の創造、ひいては、売上の創造に繋がるのです。

 

 

必要性を教えることで、消費を促す


人は、必要性の高いものから優先して消費を行います。命に関わることであれば、すぐにでもお金を払って解決しようとするでしょう。ただし、必要性に気づいていれば、です。気づいていなければ、消費行動はとりません。

人は必要性に気づいたとき、初めて消費行動をとるのです。
商人から見て、お客様にはこの商品が必要だと分かっていても、お客様自身がその必要性に気づいていないことがあります。その場合、商人はお客様に必要性を教えてあげなくてはいけません。

たとえば、人間ドックを受けたとします。
診断の結果、ガンが見つかり、医者から治療を勧められたらどうしますか? どんなに高額であっても治療を受けようとするでしょう。
このように、お客様が気づいていない必要性を教えることで、消費は促せるのです。

もう一つ、話をしましょう。
私の知るA社は、廃水処理対策のサービスを販売しています。A社の社長曰く、適切な対策を講じている企業は少なく、多くの企業は、リスクを背負い、無駄なコストまで発生しているそうです。A社は新規開拓をする際、対策を講じていないリスクを説いたDM送付しています。そのDMを送付するだけで、A社には仕事の依頼が入ってきます。必要性を教えることで、消費を促しているのです。

商人は、必要性に気づいているお客様を追うだけではいけません。
必要性に気づいていないお客様に、必要性を教えることも大切な仕事なのです。その結果、欲求を生み出し、消費を創造することができるのです。

 

 

既存客から教育をする


お客様を教育する際は、既存客から始めてください。教育効果が高く、費用対効果が見合います。なぜ、既存客からなのか。それは、関係性があるからです。人は、関係性のある人の情報には耳を傾けてくれます。

たとえば、信頼している人からの話であれば、耳を傾け、信じてくれます。逆に、嫌いな人からの話であれば、耳を傾けようとせず、信じてもくれません。このように、人間関係の度合いによって情報の受け取り方が違うのです。

私はよく、リピート率や成約率を上げる方法として、次のようなアドバイスをします。「初回客は一ヶ月以内に徹底的にフォロー、続いて教育を行い、その後セールスする。 その後も、毎月一度、ニュースレターでフォローと教育を続けるように」。

このアドバイスは、どの業種にも高い効果を発揮します。なぜなら、一連の手順を通じて、人間関係を育み、教育を効果的に行っているからです。実際、この手順で資料請求後の成約率やサンプル請求後の購入率などを、大幅に引き上げたことが何度もあります。

感性や必要性の教育は、まず既存客から。この手順を間違えないようにしてください。

 

 

まとめ


ビジネスにおける“教育”とは、「感性を育て、必要性を教える」です。別言すれば、商品の価値が分かる下地を作る活動であり、「市場の創造」とも言えます。効率性だけで考えれば、もうすでに下地が出来上がっている(教育をする必要がない)人から商品を販売するほうがいいでしょう。

もし、競合がまだ手を付けていない市場に売りたいのであれば、市場を教育(創造)するのも一つの手です。ただし、コストがかかります。既存客に売るより、5倍から10倍教育コストがかかります。

市場を創造する際は、以上を参考にしてください。

 

 

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