売り込むことに腰が引ける本当の原因とは
セールスに関する相談を受けた際、よく耳にする言葉があります。それは、「どう売り込んだらいいのでしょうか」。
私ははじめ、やり方を聞いているのだと思っていました。ところが、真意はそうではありません。「売り込むことに腰が引けています。どうやったら売り込む勇気が得られるのでしょうか?」の意味で言っていたのです。この相談は特に女性に多いです。
私はこのように聞き返します。「あなたが売り込みたい○○さんにとって、その商品は“本当”にメリットのあるものなのですか?」。
ここで詰まったら、これが原因です。お客様にとってあまりメリットのない商品を売り込もうとしているわけですから、腰が引けて当然です。
セールスで大切なのは心構えです。「このお客様にとって、絶対にメリットがある」と心から思っていれば、売り込みは苦になりません。
もし私がリフォーム業者だとして、昨日の台風で家を破損しているお宅を見つければ、ニコニコしながら売り込みに行くでしょう。そのお宅にとって家の修理の提案は、喜ばれるはずだからです(実際、台風の中をニコニコしながらポスティングした業者を知っています)。
本当に○○さんにとっていい商品だと思っていたら、売り込みなんて何の罪悪も感じません。むしろ、売り込まないことが却って申し訳なく思えてきます。
セールスで大切なことは、“お客様が喜ぶ顔が見えている”ことです。「この商品を使えば、このお客様はこんなふうに喜ぶだろうな」と想像できれば、腰が引けることなどありません。それが見えないまま、「ノルマだから」「上司の命令だから」「売れないと困るから」といった、企業都合で売り込んでいる限り、罪悪感を抱えることになります。
話が少し飛躍するかもしれませんが、「売り上げノルマ」は、とても不味い制度です。これは、完全に企業都合です。
ノルマのために売り込まれるお客様もたまったものではありませんが、売り込みを命じられたセールスマンも精神を消耗します。ノルマを見ていては、お客様の喜ぶ顔が見えません。次第にセールスが嫌になります。
売り込み(セールス)とは、本来、「お客様が喜ぶ商品を提案すること」です。この本質から外れるほど、売り込みに対して腰が引けるようになるのです
あなたには、喜ばせたいお客様がいますか? そのお客様が喜ぶ商品はありますか? この二つにYESと答えられれば、売り込みは大して怖くないはずです。
まだ見ぬお客様は待っています。あなたから商品を提案される日を。