競合・同業者がいなくなる‼ 世界観を軸にしたビジネスモデル

3年ほど前のコラムで、住宅販売を営んでいた社長との会話を載せました。要約すると、「住宅を通じてライフスタイルを売っている」と述べた社長に対して、「ライフスタイルにあった家具や家電は売らないんですか? ライフスタイルに関わるものすべて売ってもいいんじゃないですか?」と私が質問。社長は「確かに!」と答えて面を食らった、というお話。

この社長に限らず、住宅会社の社長であれば、何かしらのライフスタイル(コンセプト)がある住宅を販売しているはずです。一方、私が提言したものは、さらに一歩奥へ踏み込んだライフスタイルの販売です。このように、業種を越えてライフスタイルを提供することを私は「世界を売る」と表現しています。

世界を売ることができれば、新しいビジネスチャンスにも出合えます。
2016年7月13日(水)日経MJに以下の記事が掲載されていました。

家具・雑貨合わせリフォーム提案

そごう・西部はリフォームやリノベーションなどの住まい関連サービスを始めた。(中略)
同社は6月24日、西武池袋本店7階フロアのほぼ中央に「くらしのデザインサロン」を開設した。面積は200平方㍍。サロンはモデルルームのようにリビングや寝室、浴室などに仕切られ、各所にあったソファやキッチン、ベッドなどが置かれてある。これらの商品はすべて購入できる。

お客様はどのみち、住宅に合わせて家具を購入します。それを分かっていながら、なぜみすみす見逃すのでしょうか? 気に入るか気に入らないかは別にして、リフォーム後の住宅に合う家具があるのなら、教えてほしいとお客様は思うはずです。言われてみれば当たり前ですが、気づく人はあまりいません。「○○業は○○だけを売る」という先入観(思い込み)があるからです。これを私は業界・業種の「呪縛」と呼んでいます。冒頭でご紹介した住宅会社の社長も、「建設業は家だけを売る」という思い込みがあったため、家具や家電を売るという発想にまで至らなかったのです。

 

「世界」を売れば、競合・同業者はいなくなる


先ほど、「世界を売るためには業界の垣根を越える必要がある」という旨の話をしました。では、何でもいいから取り扱えばいいのかと言うと、そうではありません。お客様が欲しがるもの、かつ、世界観(コンセプトやライフスタイル)に一致したものだけを扱うのです。世界観が統一していなければ、世界は売れません。世界は、一つの商品で創るものではなく、トータルの商品で創るものなのです。

分かりやすい例を挙げれば「無印良品」です。商品はどれも無印良品らしさがあり、世界観が統一されています。一貫性の取れた商品たちが一つの世界を創り上げ、お店全体から無印良品らしさが漂ってきます。ここまでしっかりと世界を創り上げていれば、無印良品は家を販売してもいいんじゃないかと私は思っていました。調べてみたらありました、「無印良品の家」。さすがにわかっています。

もう一つ好例を挙げれば、「ヴィレッジバンガード」です。ヴィレッジバンガードらしい商品や店構え、POPや音楽で一貫させ、徹底して世界を作り上げています。

「世界を売る」には世界観に合った商品を並べることは当然です。さらに言えば、お店の外装や内装、販促物に至るまで、お客様の五感に触れるもののすべてを統一します。ここまでして真の「世界を売る」なのです。

世界が売れるようになると、競合・同業者がいなくなります。なぜなら、誰と何を比べたらいいのか分からなくなるからです。たとえば、「ロハスな生活」という世界観を軸に、洗剤、雑貨、服、家具、自転車、車などを販売していたら、何屋なのか、何の業種なのか分かりません。比べようがないのです。

 

出版業界も気づきはじめた


本だけではなく、作家の世界観を他の作品にして世の中に届けられないかと、取り組んでいる方がいます。株式会社コルク 代表取締役社長の佐渡島 庸平 氏です。彼の書籍『ぼくらの仮説が世界をつくる』を一部引用します。

作家は、「異能の人」です。人口の1%どころではなく、0.1%いや、0.01%くらいしか存在しません。一緒に仕事をしていて感じるのは、彼らは物語を作っているのではなく、頭の中にもう一つ別の世界を持っていて、そこへトリップしているのです。 だから、本という形だけだと、作家が創造したものの10%くらいしか使用していないことになります。それを30%、40%に高めていくのが、これからの時代の編集者の役目だとぼくは考えているのです。 ここ数年の技術革新により、さまざまなものを小ロットで精度よく作れることが可能になってきました。本だけではなく、作家の世界を雑貨やアパレルなどの商品に落とし込むなど、作家の頭の中をパブリッシュできる下地が揃ってきているのです。(p46-47)

パブリッシュするのは、作品そのものや作家の情報だけではありません。作品の世界に出てくる、さまざまなものもパブリッシュします。 安野モモコさんであれば、安野さんが作中で描いた商品を「パブリッシュ」することをもあります。たとえば『鼻下長紳士回顧録』という作品に合わせて下着を作っり、『シュガシュガンルーン』の世界観に合ったルームウェアを作ってみたりといった具合です。 現在、雑誌『AERA』で連載しているマンガ『オチビサン』を世にパブリッシュするとしたら、『オチビサン』の世界観をリアルに再現するという企画も考えられます。 鎌倉などで和の良さが残っている古民家を旅館に改装して泊まれるようにし、調度品もすべてオチビサン的な世界のものを揃える。調度品は物販として販売することも可能です。(p50-51)

世界観を表現するのに、一つの商品では難しいです。世界観を表現したいと考えた場合、業界や商品群の垣根を越える必要があるという結論に必ず達します。世界を表現した商品は、商品であると同時に作品でもあります。作品を他社は真似することも類似品も出すことはできません。完全なるオリジナル商品(作品)となるのです。この意味からも、世界観を軸にしたビジネスは競合も同業者もいなくなるのです。

 

世界を売るために


世界を売るには、「こういう世界を売っていきたい」という世界観(軸)がなければできません。なぜなら、売りたい世界を持っていなければ表現できないからです。そのため、私の提唱する「世界を売るビジネス」は企業を選びます。もしピッタリとハマれば、世界観を軸に商品を選び、どの業種にも属さないビジネスが確立できます。

従来のビジネスは、一つの業種に属して何かしらの専門性を深め、他社との差別化を図るものでした。言うなれば、職人志向なビジネスです。対して、私が提唱する世界を売るビジネスは、世界観を軸にして世界を表現するものです。言うなれば、芸術志向なビジネスです。どちらが優れているかという話ではありません。「自社は何が合っているか」が重要です。

最後に、世界を売るビジネスが何をもたらすのかを述べたいと思います。世界を売るようになれば、世界観に共感したお客様とビジネスができます。このビジネスは、最大限の自己表現ができ、自分らしく稼ぐことのできるビジネスモデルの一つです。

売ってみたい世界はありますか。
もしあるのなら、門戸を叩いてみてはいかかがでしょうか。

世界を売るマーケティングを知りたい方は、こちら。

 

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