市場シェアから財布シェアへの転換

あなたが賃貸物件を紹介する会社のセールスマンだとして、お客様が希望する家賃よりも高い物件を勧めるとしたら、どうしますか?
2014年10月6日の日経MJの一面にこんな記事が掲載されていました。

格安スマホに切り替えて通信費が下がれば、もう少し条件の良い部屋に住めますよ」。9月中旬、東京都港区のエイブル麻布店。店員が賃貸物件のチラシと共に格安のスマホを説明していた。

家賃も通信費も同じ固定費です。そこに目を付けたエイブルは、格安スマホ(月々2,000円)の販売に乗り出したのです。月額平均7,263円(総務省調べ)する通信料、それを2,000円に抑え、浮いた分、ワンランク上の物件を勧めるという寸法です。

この考え方は、財布シェア(ウォレットシェア)に通じます。
財布シェアとは、お客様の財布を自社と他社がどれだけの割合で占有しているか、という考え方です。市場シェアと大きく異なるのは、同業種だけではなく、異業種なども競合になる点です。
「通信費を安くして、その分、いい部屋を」は、財布シェアに目を向けた発想と言えます。市場シェアでは、この発想には中々至りません。
さて、この一面記事、実はまだ続きがあるのです。

子供服と一緒に格安スマホを売れないか」。バンダイ傘下の玩具メーカー、メガハウス。(中略)
クリスマス商戦を見据えた10月中旬からは子供服チェーンと連携、格安スマホを売り込む。「衣料品も格安スマホもファッションの一つ。親和性のある子供服売り場を通じて消費者と接点を増やす。

「○○業界だから、○○だけを売る」は、旧来の考え方です。
「世界(コンセプト)に合うものは、すべて売る」が、これからの考え方です。

「○○業界だから、○○だけを売る」商いをするのであれば、市場シェアが物差しになります。しかし、「世界に合う物は、すべて売る」商いであれば、財布シェアが物差しになります。この二つは、競合している相手が全く異なるのです。

財布シェアの考え方になれば、賃貸物件と一緒にスマホを提案するように、業界業種の垣根を越えた商いができます。また、「世界に合うものは、すべて売る」の考え方でも、衣料品と一緒にスマホを提案するように、業界の垣根を越えることができます。
最後に、大手通販会社Amazonの、シェアに対する考え方を紹介します。

書籍は、書籍と競合しているのではない。音楽や映画、ゲームなどと競合している。ユーザーの余暇をこれら娯楽商品と取り合っているのだ。

これは時間シェアという考え方です。お客様の限りある時間をいかに自社の商品に割いてもらうか。そのためにAmazonは、ユーザーの時間をほかの娯楽商品に奪われないようキンドルを投入し、また、電子書籍の価格を抑えようと出版社と交渉を重ねています。

これらの事例から言えるのは、市場シェアの考え方は、もはや時代遅れになりつつあるということです。

あなたは、お客様のお金もしくは時間をどれほど占有していますか? 市場シェアから財布シェアに視点が切り替わったとき、旧来の商品や売り方に囚われない商いができるはずです。

 

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