ビジネスをキュレーションする3つの視点

「キュレーション」。
最近この言葉を耳にする機会が多くなりました。

元々は、美術館の館員が美術作品を独自の判断で並べ、新たな価値を見い出すことを意味しています。
たとえば、テーマ別で並べたり、年代別で並べたり、作者別で並べたり……。並び方を変えるだけで、同じ作品でも、違った視点から鑑賞してもらうことができ、新しい意味や価値を生みます。

近年はこのキュレーションを活用して、商品・サービスの価値を創造しようと注目されています。 インターネット上にはまとめサイトがありますが、実はこれ、キュレーションのいい例なのです。 数ある情報の中から有益な情報だけを選別してまとめています。情報過多だからこそ、情報の選別整理が価値を持つようになったと言えます。

 

 

私たちは、キュレーションを日常的にしている


実は、キュレーションは新しい概念でも何でもないのです。 私たちは知らず知らずのうちにキュレーションを日々行っています。

たとえば、好きなアーティストの曲を自分好みの順に録音した経験はありませんか? これも立派なキュレーションです。
ほかにも、本棚をテーマ別や著者別に並べてみたり、またはカバー別や大きさ別で並べてみたり。本を色別で分ける人もいました。(斬新なキュレーションですね)

最近、音楽CDはよくキュレーションされて販売されています。
私が持っているCDに、『静かな夜のカフェジャズ』と『ほろよいジャズ』があります。アーティストや人気順で音楽を並べるのではなく、”雰囲気“でジャズを選定しています。これが、キュレーションによる価値の創造です。面白いと思いませんか。 独自の視点で並び変えを行い、新たな価値を見い出しています。
このように、今ある情報や価値(意味)を捉え直し、新たな価値を創造するのがキュレーションです。

キュレーションで大切なのは、”視点“です。視点次第で価値創造はいくらでもできるのです。
喩えるなら、バラバラに散らばっているブロックを新たに組み立てるようなもの。何を作り出すかは視点(感性)次第です。

でも、視点次第と言われても困りますよね。 「そんな視点、自分にはない」と思う人もいるかもしれません。 そこで、キュレーションするための3つの視点をお伝えしたいと思います。

その3つとは。

1、目的・用途の絞り込み
2、目的・用途の変更
3、ターゲットの変更

です。

事例を交えて説明していきます。

 

 

 1、目的・用途の絞り込み


大抵の商品には、いくつかの利用目的や使用用途があります。 それを1つに絞ると、価値は大きく、また、伝わりやすくなります。
情報が溢れ、どんな商品にも多様な機能が備えられ、便利になり過ぎた時代だからこそ、効果を発揮するキュレーション手法です。
口で説明するより、事例を紹介したほうが分かりやすいですね。

 

事例1 卵かけご飯専用 醤油

ご存知、卵かけご飯専用の醤油です。
醤油は料理全般に使えますが、それをあえて用途を一つに絞りました。人気のほどは皆さんもご存じの通りです。ちなみに、今では「焼き餅専用醤油」「まぐろの漬けダレ専用醤油」などもあるそうです。

余談ですが、実は私、この卵かけご飯専用の醤油を見たとき思ったのです。
もしかしたら、”アレ“も専用が出るのではないかと。やはり思った通りでした。出ました、『卵かけご飯専用の卵』。 完全な二番煎じですが、キュレーションの観点から言えばこれも正解です。ちゃんと、用途を絞っていますよね。

事例2 朝専用 珈琲

朝に絞り込んだ缶珈琲『モーニングショット』。
この商品は、飲料業界でヒットと呼ばれる年間1,000万箱をゆうに超える1,475万箱を販売しました。時間を絞ったにもかかわらず他の商品以上に売上を伸ばしているのです。絞り込むことで朝の時間を独占したわけです。これと同様に、午後に時間を絞った『午後の紅茶』があります。シリーズ合わせて2011年に4,544万箱を売り上げています。午後という時間に絞ったことで価値が伝わりやすくなったのです。

 

事例3 日本ツインテール協会

日本ツインテール協会のfacebookページをご存知でしょうか?
ツインテールの女の子の写真が日々アップされるだけのページです。 これが人気を博しており、ページのいいね!数が13,000を超えています。Twitterも開設されており、フォロワーが29,000人以上います。さらに驚くことに写真集『キミ色ツインテール』まで発売されています。 ちなみに、わたくし、購入いたしましたwただ、可愛い女の子の写真をアップするのではなく、そこからさらにツインテールに絞り込んだのが目のつけどころです。 このように、何かのテーマで絞り込むと価値が明確になります。

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これと同じ手法を用いた人気テレビ番組があります。『アメトーク』です。
『アメトーク』は、芸人を一つのテーマで括って集め、そのテーマについて色々と語る番組です。今までにあった括りをいくつか挙げれば、 『ガンダム芸人』『家電芸人』 『徹子の部屋芸人』などがあります。 テーマを絞り込んだことで、新しい価値を見い出した好例ですね。

 

2、目的・用途の変更


続いては、目的・用途の”変更“です。
商品はほとんど変えずに、今までと違った目的や用途に変更すると、新たな価値を生み出すキュレーションが行えます。
これも事例を交えながら説明したほうが分かりやすいですね。

 

事例1 シュレッダーはさみ

海苔を刻むために作られたはさみが売れず、 シュレッダーはさみとして売り出したところ、80万本を売り上げる大ヒット商品に。
目的・用途を変更して成功したとても分かりやすい好例です。 個人的に一番大好きな事例です。

事例2 お祝いの際に贈るぬいぐるみ

結婚祝いや出産祝いに贈られるぬいぐるみがあります。
このぬいぐるみは、重さを変えて、目的・用途を変えたものです。

結婚式では、新郎新婦が生まれた時の体重にして贈ります。 出産時には、生まれてきた子供の体重にして贈ります。

重さを変えること自体は簡単にできます。
特筆すべき点は、重さと一緒に目的・用途を変えた点です。お祝い用に変えたことで、新しい価値を生みました。

これと似たキュレーションをした絵本があります。
結婚式や出産時に贈るように作られています。通常、絵本は子供が見るためのものですが、目的・用途を変えて贈り物用商品にしたのです。

事例3 眠っていいコンサート

クラッシクを聴きに行って眠くなったことはありませんか?
私はあります。眠い目をこすりながら聴いた経験が何度かあります。いい曲ほど眠くなるのは私だけでしょうか。
コンサートって眠ってはいけない雰囲気がありますよね。名曲に包まれて眠れたらきっと心地良いはずなのに。

そんな希望を叶えてくれるコンサートがあります。
渋谷区にある白寿ホールで行われる『リクライニングコンサート』です。椅子をゆったりと倒せるため気持ちよく眠れます。 『聴くコンサート⇒寝るコンサート』へキュレーションした好例です。

 

 

3、ターゲットの変更


同じ商品でも、ターゲットを変更して価値を変えることができます。
男性向けだった商品を女性向けにするなどがそうです。そういえば、男性専用のブラジャーという商品もありましたね。
変更したターゲットに合わせてデザインなどを若干修正する必要は出てきますが、今ある商品資源を活用して新たな市場を開拓できる効果的な手法です。

では、これも事例を交えて説明します。

 

事例1 家族で遊ぶゲーム機

Wiiもキュレーションの好例です。
ゲームは本来一人~二人で遊ぶものでした。どちらかというと、親からは嫌われていましたよね。子供がゲームばかりして勉強をしないので。
ゲーム機を忌み嫌っていた親にも遊んでもらおうと開発されたのがWiiです。 “一人“から”家族”へとターゲットを変更した結果、新しい市場を開拓することに成功しました。

事例2 一人で楽しむ鍋

鍋と言えば家族など大勢で囲んで食べるものですよね。
ですが、時代の変化でしょうか、一人で鍋をする人が増えてきました。

おそらく、一人暮らしをしている人の中には、一人で鍋をしている人もいたはず。
先ほど言ったように鍋は大勢で食べるものという概念があったため、大きいサイズしかありませんでした。そこで、一人用の小さめな鍋が作られたわけです。

言われてみれば、一人用の鍋があっても不思議ではありません。しかし、人はこういう視点になかなか気づかないものです。まさに盲点。 一人用にサイズを変えるだけで未開拓の市場を開拓できたわけです。

事例3 ペット専用のウェデングドレス

今や、ペットは家族の一員のようです。
家族だからなのか、愛情なのか、それとも趣味なのかは分かりませんが、ペットに服を着せたりする飼い主が多くいますね。
そんな中、ペット専用のウェディングドレスやペット専用のお葬式まで現れました。ペット市場に目を移せば、新たな消費を生むことができる業界はいくらでもありそうですね。

 

 

以上が、キュレーションするための3つの視点でした。
でも、話はこれで終わりません。
今までは、商品価値を高めるためのキュレーションでしたが、今度は、商品の陳列をキュレーションした事例を紹介したいと思います。

 

 

商品陳列もキュレーションする


Amazonでお勧めの商品を紹介された経験はありませんか?
Amazonは、今まで購入したデータベースを元に、顧客が買いそうな商品を提案してきます。これも一種のキュレーションです。 「この人が買いそうな商品」という括りで一人一人キュレーションして提案してくるわけです。

100円ショップも商品陳列をキュレーションしていますよね。 『100円で買える物』という括りで商品を並べているわけです。

TSUTAYAもキュレーションを始めたようです。 今までは、商品カテゴリー別で商品を並べていて、無味乾燥な陳列でした。

最近、ほんの少しですが変化があるのです。
写真にあるように、本の隣にDVDが置かれています。つまり、「この本を買う人は、このDVDも買うだろう」という消費者の行動を読んだ陳列です。Amazonに似ていますね。
また、DVDデッキも販売するようになりました。映画を観る時間を提供しているわけですからそれに付随する商品は売れると読んだのでしょう。私から言うと、テレビもスピーカーも売るべきだと思います。

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これをさらには発展させたお店があります。
ヴィレッジヴァンガードです。このお店は凄い。

おそらく、コンサルティング会社や同業者は、ヴィレッジヴァンガードが何をしているのかさっぱり分からないと思います。
あ、ちなみにヴィレッジヴァンガードは業種で分けると書店になるそうです。誰も書店だとは思ってもいないでしょうね。

ヴィレッジヴァンガードは、「ヴィレッジヴァンガードらしさ」で商品類を括っています。そのため、独特の雰囲気を醸し出しているわけです。用がなくても何だか入りたくなります。 立ち寄って眺めている内に欲しい物と出合えたりもします。これが、キュレーションの醍醐味だと思うのです。

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商品カテゴリーでの陳列は確かに探しやすいでが、斬新さがあまりありません。
商品カテゴリー以外の陳列にしたとき、商品との新たな出合いが生まれやすくなります。 これがキュレーションの利点なのです。

商売には、2つの形があると私は考えています。
「お客様が欲しがっているものを売る」と「お客様が欲しがるものを売る」です。
商品カテゴリーの陳列は、前者の売り方です。キュレーションによる新たな出会いを提供する売り方は、後者の売り方です。

欲しい物はネットで簡単に手に入ります。
これからの商売は、欲しいものだけではなく、欲しがるものを提案して売ることが重要になってきます。そうでなければ、選ばれるお店にならず、生き残ることは難しいでしょう。

 

 

まとめ


いかがでしたでしょうか。
キュレーションについて少しは理解できたでしょうか。

キュレーションは、最近流行り出した言葉ですので、このまま定着するかはまだ分かりません。私は定着すると思っています。

今回紹介した視点以外にもキュレーションの仕方はあります。一つの参考にしていただければ幸いです。

最後に私なりのキュレーションの意義についてお話しして終わりにしたいと思います。
キュレーションとは、”そうとは気づいていなかった必要性や願望に気づかせること“です。
情緒的に言えば、お客様に「そうそう、こんな商品が欲しかったのよ。このお店、私のことを分かってくれている!」と言われることです。

ぜひ、美術館の館員になったつもりで、商品を美術品と見立てて、商品類をキュレーションしてみてはどうでしょうか。
そして、届けてください。お客様の知らない価値を。 お客様は待っています。あなたにしか表現できない新たな価値を。

 

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